B型肝炎ワクチン
B型肝炎
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus ; HBV)は血液媒介感染をする病原体としては最も感染力が強く、医療関連施設では比較的よくみられる針刺しや患者に使用した鋭利物による切創、血液・体液の粘膜への曝露、小さな外傷や皮膚炎など傷害された皮膚への曝露でも感染が成立する可能性がある。免疫のない感受性者がHBV陽性の血液による針刺しを起こした場合の感染率は約30%といわれている。したがって患者や患者の体液に触れる可能性のあるすべての医療関係者は、B型肝炎ワクチンを接種して、HBVに対する免疫を持つ必要がある。
接種回数・接種間隔
接種は初回投与に引き続き、1ヵ月後、6ヵ月後の3回投与するのを1シリーズとする(図2)。1シリーズの3回目のワクチン接種終了後、1~2ヵ月後にHBs抗体を測定し、陽性化の有無を確認し、10 mIU/mL以上に上昇している場合は免疫獲得と考えてよい。1シリーズのワクチン接種で40歳未満の医療従事者では約92%で、40歳以上では約84%で基準以上の抗体価を獲得したとの報告がある。1シリーズのワクチン接種後に基準以上の抗体価が獲得できなかった場合は、もう1シリーズの再接種が推奨されている。追加の1シリーズにより、再接種者の30〜50%が抗体を獲得できる。2シリーズでも抗体陽性化が見られなかった場合はそれ以上の追加接種での陽性化率は低くなるため、ワクチン不応者として血液曝露に際しては厳重な対応と経過観察を行う。このような者がHBV陽性血への曝露があった場合、米国ガイドラインでは抗HBs人免疫グロブリンを、直後と1ヵ月後の2回接種を推奨している
(医療関係者のためのワクチンガイドラインより引用)