認知症
認知症とは?
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。
認知症の原因
認知症の原因としてはアルツハイマー病が最も多いとされますが、様々な疾患が認知症の原因になりえます。とくに、中枢神経系に病巣をもつ次の疾患が代表的です。
- アルツハイマー病
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- ピック病など前頭側頭型認知症
- うつ病の仮性認知症
- 薬物惹起性の認知症
- スピロヘータ、HIVウイルス、プリオンなどによる感染症による認知症
わが国の認知症の原因疾患は、1980年代まで脳血管性が最多とされましたが、近年の疫学研究はアルツハイマー病が最も多いとする傾向にあります。性差については、アルツハイマー病は女性に、脳血管性は男性に多いとされます。
認知症患者で除外すべき重要な内科疾患・精神科疾患
- 甲状腺疾患
- 神経梅毒
- ビタミンB12欠乏症
- うつ病
- アルコール依存症
- 薬物性
- 血管炎(SLEなど)
- 感染症(HIV、ウイルス性脳炎など)
認知症の有病率・患者数
65~69歳での有病率は1.5%ですが、以後5歳ごと倍に増加し、85歳では27%に達します。現時点で、我が国の65歳以上の高齢者における有病率は8~10%程度と推定されています。65歳以上人口の10%だとすると242万人程度に達しているという意見もあります。今後、高齢者人口の急増とともに認知症患者数も増加していくことが予測されています。
認知症の症状
中心的な記憶などの認知機能障害と、周辺症状と呼ばれる行動異常・精神症状に大別されます。前者では、記憶障害(新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を思い出したりする能力の障害)が基本になります。それに失語、失行、失認、実行機能の障害も重要です。
認知症のスクリーニング検査
認知症を疑った場合には、下記のような検査を行いスクリーニングします。
- 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
- MMSE(Mini Mental State Examination)
- MOCA(Montreal Cognitive Assessment)
認知症のワークアップで必要な検査
- 採血(血算・電解質・腎機能・肝機能・甲状腺刺激ホルモン・ビタミンB12・RPRなど梅毒スクリーニング検査)
- 必要に応じてHIV、薬物検査、血沈、重金属のスクリーニング、葉酸なども検査
- 胸部レントゲン検査
- 一般尿検査
- CTスキャンもしくはMRI検査(脳血管障害・腫瘍・水頭症などを除外するため)
認知症の治療
アルツハイマー病・レビー小体型認知症・脳血管性認知症などの治療は現時点では非常に限られています。
薬物療法では主に以下の薬を使います。
コリンエステラーゼ阻害薬
- ドネペジル(アリセプト®︎)
- ガランタミン(レミニール®︎)
- リバスチグミン(リバスタッチ®︎、イクセロン®︎)
N-メチル−D−アスパラギン酸受容体拮抗薬
- メマンチン(メマリー®︎)
早期発見により、病状の進行を遅らせて日常生活に支障がないように、対策ができますので、お気軽に川田クリニックにご相談ください。